テノ森:木の匙キットの作り方

けずって、やすって、ゆがいて、木のさじづくり

日々、忙しさのなかで波乗りをしているような私たちですが、「丁寧にものづくりをする時間」の中では普段見落としている大切なものを再発見できるものです。ぜひ、「ものづくり」に没頭する時間をお楽しみください。

【所要時間:木の匙90分/バターナイフ45分程度】

 

内容:

荒削りされた紅葉樹の木のさじを紙やすりですべすべにしていきます。

「大体なめらかになったな」と思うところで、さじをグツグツの熱湯で湯がきます。

すると木のさじは残念なくらいガサっとなってしまいます・・・。

木の表面の繊維が水を吸って膨らみ起毛してきたのです!

でもこれは毛のようなモノ、ドライヤーで乾かして、目細かい紙やすりを充てるととってもツルツルになります。

この湯がいては紙やすりを3回繰り返すと、次第に木の表面が肌にしっとりと吸い付くように変化するんです!

「あっ」て嬉しくなる。

仕上げは食用の亜麻仁油をたっぷり染み込ませて出来上がりです。

 

 

 ①必要なものの確認

【キットに含まれているもの】

カトラリー本体

あて木、アマニ油(または胡桃油)

紙やすり大と小(#120、#240、#400、耐水紙やすり#1000) 

【自宅で用意するもの】

濡れたウエス(木の粉を掃除するため)

乾いたウエス(ゆがいたカトラリーの水気を取り)

ドライヤー

お湯を入れたホットプレート(カトラリーを湯掻きます)

割り箸

②目の荒い#120の紙やすりで磨きます。

 

匙面→匙面の裏側→3くびれ→持ち手→お尻の端部

の順に木の匙・バターナイフに#120の紙やすりで美しい曲面になるように形を整えます。【木の匙/バターナイフ:20分/10分】

 

◾️バターナイフの場合

バターナイフの刃先を鋭角に尖らせると使い勝手が良くなります。

◾️木のさじの場合

さじ面は細い紙やすり(約12mm×70mm)を半分に折って、彫り込んだ部分を丁寧に磨きます。この部分が一番口に当たるところなので念入りに磨きます。大きな紙やすりを使うと薄いスプーンになってしまう事があるので縁の高さを低くしないように注意します。

匙面とその裏側は、最も口にあたる部分です。しっかりとなめらかにしたいですね。
匙面とその裏側は、最も口にあたる部分です。しっかりとなめらかにしたいですね。

③中目の#240→#400の紙やすりをかけます。

 

#120の紙やすりと同じ順序で#240の紙やすりをかけます。【20分/15分】

その後#400で同様に紙やすりをかけます。【20分/10分】 

④ホットプレートで沸騰させたお湯に15秒つけます

 

#400の紙やすりで一通りやすりをかけたら、熱いお湯に15秒ほど浸します。

お湯から取り出して、乾いたタオルで水気を拭き取り、ドライヤーで乾かします。

ブレーカーが上がらないようにドライヤーを使う時にはホットプレートの電源を切りましょう。

バターナイフの表面がガッカリするほどザラザラになりますが、これで正解です。

⑤#400の紙やすりでこのザラザラの毛羽立ちを取り除きます。

 

しっかり力を入れて#400の紙やすりで磨きます。ザラザラは木の繊維が毛羽立っているだけなのですぐに表面がつるつるになります。【10分/5分】

◾️木のさじの場合

ここでもさじ面は細い紙やすり#400(約12mm×70mm)を半分に折って、彫り込んだ部分を丁寧に磨きます。

 

⑥全体に#400の紙やすりでやすったら、再びお湯でゆがきます。(2回目のゆがき)

 

⑦ドライヤーで乾かしたバターナイフに再び#400の紙やすりで磨きます。【10分/5分】

<うまく作るコツ1> #400の紙やすりのくたびれたところで力を入れて磨きます。くたびれたところは#600程度の紙やすりと同様になっています。

<うまく作るコツ2> 表面が白く曇っているところは粗い紙やすりの傷が残っているためです。部分的に#240に戻り#400の紙やすりで磨くときれいになります。

 

⑧全体に#400の紙やすりでやすったら、再びお湯でゆがきます。(3回目のゆがき)

 

⑨ドライヤーで乾かしたバターナイフに再び#400の紙やすりで磨きます。【5分/5分】

<うまく作るコツ3> #400番の紙やすりのくたびれたところで力を入れて磨きます。くたびれたところは#800〜#1000程度の紙やすりと同様になっています。

⑩オイルフィニッシュ【5分/2分】

亜麻仁油(やくるみ油などの乾性油)をたっぷり木の匙やバターナイフに染み込ませ、#1000の紙やすりでウエットサンディングをします。細かな木の粉とオイルを混ぜて木の道管に刷り込むようになじませます。

 

さいごに、余分なオイルを拭きとり完成です。

たっぷりオイルを含ませたままにして、12時間後に表面に残ったオイル分をきれいに拭き取ってもいいです。

オイルの量はたっぷりと、染み込むだけ染み込ませてください。
オイルの量はたっぷりと、染み込むだけ染み込ませてください。

メンテナンス

オイル分がなくなり、表面がカサカサなってきたらオイルを木の匙やバターナイフに塗ってあげます。

目安は1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後です。

くるみ油や亜麻仁油などの乾性油がおすすめです。

乾性油が硬化するには3ヶ月ほどかかりますが、私はいつも待てないのですぐに使ってしまいます。

ふつうに台所洗剤で洗いよく乾かしてください。

使っていて表面がカサカサしてきたら400番の紙やすりで軽く研磨して、再びくるみ油や亜麻仁油などのオイルを染み込ませ、1000番の耐水ペーパーで研磨し余分なオイルを拭き取ってください。

 

注意点

オイル仕上げのカトラリーは鉄分や重曹が付くと木の中のタンニン分と反応して黒く変色します。

自動織機洗浄機を使うと黒くなったり、ざらざらに毛羽立ったり、変形したり、油分が取れすぎたりしますのでお勧めしません。

いろいろな木の色のさじになります。

紙やすりがけの様子

ワークショップの様子